X-ray imaging using SR
Imaging system
当センターでは超伝導ウィグラーを光源とするビームライン07(BL07)にて各種のイメージングを行っています。図1にビームラインの構成を、図2に光学ハッチに設置してあるGe結晶(Ge(111))を用いた2結晶分光器と、光学-実験ハッチ間に設置してあるSi結晶(Si(220))を用いた2結晶分光器で、単色化した放射光の強度スペクトルを示します。Ge分光器の対応するエネルギーは6~20 keVで、Si分光器の6~35 keVに比べて高エネルギー範囲が狭くなっていますが、光源に近く、さらにGe(111)の回折幅が広いために、Si分光器に比べて強度は約10倍になります。このため、大強度が必要なマイクロCTで主に利用しています。
図3にBL07の各種イメージングにおける放射光の流れを示します。本ビームラインでは光源(超伝導ウィグラー)から放射された白色放射光をスリット(TC1)で整形された後、金属フィルター、Ge分光器(光学ハッチ)、Si分光器(光学ー実験ハッチ間)のいずれかに入射してエネルギー帯域を狭めて利用しています。なお、走査型蛍光X線顕微鏡(供用準備中)では、エネルギーフィルタリングすることなく、そのまま利用しています。表1には各イメージング法の主なスペックを、表2にはBL07で利用可能なX線カメラの仕様を示します。
表1 BL07で利用可能な手法とそのスペック
No | イメージング法 | 使用可能な放射光 | 使用ハッチ | 観察視野 | 空間分解能 | 三次元計測時間 | その他 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 吸収CT | 単色:8-35 keV | 実験ハッチ | 16x12 mm2 | 20 um | 30 min以下 | |
2 | 高速CT | 準単色(~15 keV) | 光学ハッチ | 5x2 mm2 | 20 um | 1 s以下 | 供用準備中 |
3 | マイクロCT | 単色:8-15 keV | 光学ハッチ | 2x2 mm2 | 2 um | 20-40 min | 温度制御可能 (-150~+50℃) |
4 | 位相CT(DEI) | 単色:8-35 keV | 実験ハッチ | 16x12 mm2 | 30 um | 1 h | |
5 | 位相CT(回折格子(タルボ)) | 単色:12-20 keV | 実験ハッチ | 16x12 mm2 | 30 um | 1.5 h | |
6 | 位相CT(伝搬) | 単色:8-15 keV | 光学ハッチ | 2x2 mm2 | 3 um | 20-40 min | 温度制御可能 (-150~+50℃) |
7 | 位相CT(結晶干渉計) | 単色:15-20 keV | 実験ハッチ | 10x8 mm2 | 30 um | 1.5 h | 供用準備中 |
8 | 走査型蛍光X線顕微鏡 | 白色 | 光学ハッチ | 200 um角 | 1 um | 2次元:1時間 (3次元は未対応) | 供用準備中 当面は重元素対象 |
表2 当センターで利用可能なX線カメラ
名称 | 種類 | 画素サイズ | 画素数 | 転送方式 | その他 |
---|---|---|---|---|---|
VHR | ファイバーカップリング | 3.2 um | 4008x2560 | Camera link | Photonic Science製 (Windows 7専用のため運用停止中) |
Zyla 5.5 HF | ファイバーカップリング | 6.5 um | 2560x2160 | Camera link | Andor製 |
Kenvy 2 | レンズカップリング | 1.3 or 0.65 um | 2048x2048 | USB 3 | 自家製 |
HAYAKA | レンズカップリング | 13.7 um | 1280x840 | CoaXpress | 自家製 最大5000 fps |
なお、詳細情報は以下の論文に記載してあります。また、計測例はhttps://img.saga-ls.jp/galleryをご覧下さい。
当センターでは、上記のマイクロCTに、窒素冷気吹きつけ型のクライオシステム(リガク製)を組み合わせて、低温下での計測も可能です。クライオシステムの仕様は表3のようになっており、室温と同じ空間分解能及び密度分解能で計測できます。
表3 クライオシステムの概要
冷却方式 | 窒素冷気吹きつけ型 |
温度範囲 | -180~+80℃ |
温度安定性 | ±0.5℃ |
制御方式 | LAN経由 |
1. BL07におけるイメージング(オープンアクセス)
Yoneyama, A.; Takeya, S.; Lwin, T.T.; Takamatsu, D.; Baba, R.; Konishi, K.; Fujita, R.; Kobayashi, K.; Shima, A.; Kawamoto, M.; et al. Advanced X-ray imaging at beamline 07 of the SAGA Light Source. J Synchrotron Radiat 2021, 28, 1966-1977, doi:10.1107/S1600577521009553.
https://doi.org/10.1107/S1600577521009553
2. 位相イメージング(オープンアクセス)
Yoneyama, A.; Baba, R.; Lwin, T.T.; Kawamoto, M. Four-type phase-contrast X-ray imaging at SAGA Light Source. Journal of Physics: Conference Series 2020, 2380, 012117, doi:10.1088/1742-6596/2380/1/012117.
https://doi.org/10.1088/1742-6596/2380/1/012117
3. X線顕微カメラ(オープンアクセス)
Yoneyama, A.; Baba, R.; Kawamoto, M. Quantitative analysis of the physical properties of CsI, GAGG, LuAG, CWO, YAG, BGO, and GOS scintillators using 10-, 20- and 34-keV monochromated synchrotron radiation. Optical Materials Express 2021, 11, 398, doi:10.1364/ome.409161.
https://doi.org/10.1364/OME.409161
4. 走査型蛍光X線顕微鏡
(現在は入射角5mradの形状可変ミラーの導入を進めています。2024年秋頃に供用開始の予定です。)
Yoneyama, A.; Kawamoto, M. Development of scanning X-ray fluorescence microscope using KB mirror and white synchrotron radiation at SAGA Light Source. Journal of Instrumentation 2020, 15, 12029, doi:10.1088/1748-0221/15/12/p12029.
https://doi.org/10.1088/1748-0221/15/12/P12029